今日は、中高年サラリーマンの転職について、自分の経験も踏まえて考えてみました。
少しお付き合いいただければと思います。
目次
倍率600倍!兵庫県宝塚市の市職員募集
先日、報道され話題になりましたが、次のようなニュースがありました。
就職氷河期世代の救世主となるか
兵庫県宝塚市では、バブル崩壊後の1993(平成5年)~2004年(平成16年)頃に大学や高校を卒業し、不況に直面した「就職氷河期世代」を対象として、正規事務職員(3人程度)を募集しました。
すると、全国から1,816人が応募し、倍率が600倍を超えました。
宝塚市は、この応募を最大で500人を想定していたようです。
そこで、9月22日実施の一次試験(筆記)の会場を3ヶ所確保していましたが、10ヶ所に増やして対応するとのことです。
宝塚市長の会見
宝塚市の中川智子市長は、8月30日の記者会見で、「今も不安定な生活をする就職氷河期世代への支援が必要だと改めて実感した」と述べました。
さらに「宝塚市の取組だけでは足りない。同じ取組が国や他の自治体に広がってほしい。」と、就職氷河期世代の雇用支援を訴えました。
兵庫県宝塚市は、大阪や神戸といった大都市のベッドタウンですが、最近ではLGBTのパートナー制度を創設しています。
今回の取組といい、なかなか頑張っているなと感じています。
国も「就職氷河期世代」を後押し!?
新卒重視の採用慣行がいまだに続く中で、35~44歳の約1,700万人のうち、非正規雇用で働く人が317万人、フリーターは52万人、職探しをしていない人も40万人いるそうです。
また、内閣府は、40~64歳の中高年のひきこもりが、全国に61万人いると推計しています。
なんだか悲しすぎる数字ですね。
国の支援策とは
厚生労働省も今後3年間を集中的な支援期間とし、正社員として雇った企業への助成金の拡充や、企業や自治体などと連携しての職業訓練などを柱として、「骨太の方針」として盛り込み、数値目標を設けて達成をめざすとしています。
この対策の柱となっているのは、人材不足になっている運輸や建設、農業などの業界団体や人材派遣会社などに委託して、資格習得などをめざす『職業訓練コース』の創設です。
また、人手不足業種との職場見学会つき面接会の開催などによって、正社員就職を促進するとしており、職業訓練やキャリア教育を人材派遣会社などに委託するとしています。
また、正社員に採用した企業に、1年限り最大60万円を支給している制度を拡充させるという内容もあります。
国の支援策の実態
支援策はもっともらしい体はなしていますが、外国人労働者の受け入れ拡大と同様に、人材不足が叫ばれる業界の雇用の確保をしたいという意図しか、僕には見えてきません。
こうした人手不足の職種は、労働環境の劣悪さや低賃金が指摘されていますし、それを法改正によって外国人労働者に担わせるばかりでなく、今度は日本のワーキングプア層にまで広げたということでしょう。
人材不足に陥っている業種の構造的な問題である、過酷な労働環境・劣悪な雇用条件という根本問題の改善は一切行われないまま、実質的に、社会的弱者に過酷な労働を押し付けてしまえという意図が感じられてなりません。
使われない助成金制度
そもそも、この就職氷河期世代を正社員に採用した企業に対し、助成金を支給する制度は2017年度から始まっています。
しかし、2017年度は約5億3000万円の予算のうち、支給されたのはわずか27件で、支給額は765万円でした。
また、2018年度は、企業への支給額の予算を10億7000万円にまで増やしましたが、2018年12月末現在で、1億2800万円の支給にとどまっています。
つまり、たった1回だけ60万円の助成金を出したくらいでは、企業は正社員採用には踏み切らないということです。
その他にも指摘したいところは、まだまだたくさんありますが、結局、国は産業界からの要望は聞くけれども、弱者には『努力が足りない。自己責任だ。』という冷たい言葉を投げつけ、真剣に支援しようなどとは思っていないのです。
結局、自己防衛していくしかないということがいえそうです。
40代以上は転職できるのか?
さて、僕たち40代以上の人間は、転職もままならないのが現状です。
宝塚市のような取組はどんどん広がって欲しいところですが、現実にはそれほど進むものではないと思います。
需要と供給
やはり需要と供給があると思うんですけど、40代以上だと上司が年下になる可能性が高くなります。
すると、上司の側は、年上の部下を精神的にも使いにくいし、体力面でも劣る。もしかしたら、気力も若い人には敵わないかもしれません。
まして、リストラに遭ったりして気落ちしていると、そうとう厳しいかもしれません。
すると、条件のいい職にありつくのは、至難の業になってきます。
中高年の転職の実態は、非正規雇用
40代以上の転職となると、実態はアルバイト、派遣社員、契約社員といった非正規雇用がほとんどでしょう。
非正規雇用だと、雇用が不安定になりますし、交通費も賞与ももらえないという悲惨な状況になりかねません。
働いている仕事内容も、労働集約型のものになりがちで、そうした仕事で働く労働者に対する評価は低くなりがちです。
具体的には、中高年で仕事に就こうとなると、コンビニやスーパー、ファーストフード店、コールセンター、物流など運転業務、工場勤務などに、非正規雇用で就職し、働いている中高年がほとんどだと思われます。
もちろん望んで非正規雇用を選択している方もいるとは思いますが、生活の安定を考えると少数派だといえるでしょう。
転職35歳限界説
転職35歳定年説というものがあると思うんですけど、よほどのスキルがない限り、それは事実だと思っています。なぜなら、僕にも経験があるからです。
僕が34歳のときの転職
僕が最後に転職したのは34歳のときだったのですが、かなりきつかったです。40代中盤の今となっては、正社員の転職を探そうとは思いません。だって、普通にないでしょ?
最後の転職となった34歳のときですが、本当に大変でした。奇跡的だったかもしれません。
一次試験で筆記試験があって、面接が1~2回というパターンが多いと思いますが、筆記試験に合格して、最終面接となると、競合相手は20代後半の方が相手です。
最終面接に上がってくるぐらいですから、それなりに高いレベルの人ですから、最後は年齢がネックになります。
同レベルの2人が残って、年齢が28歳と34歳だったら、どちらが採用されやすいですか?
考えるまでもないですね。最後の最後で、何度も涙をのみました。
苦しかったです…。何度も気持ちが折れかけました。
それでも、諦めずに転職活動を続けた結果、拾っていただいたというわけです。
年代によって違う就職・転職の戦い方
ぼんやりではありますが、年代別にはこんな感じで就職・転職活動を戦っていくのが王道ではないでしょうか?
新卒
特に、個人的に挑戦していること、スキルを身につけたなどのことがない限り、一般の学生のやってること、勉強している内容にはほぼ個人差はない。少なくとも社会人からは、そう見える。
仕事の実績はまだないので、やる気(御社でこんな仕事に挑戦したいなど)をアピールする必要がある。最後の最後は、学歴がものをいう。
20代の転職
今やっている仕事で、どんな結果を出しているか、これから何に挑戦していきたいかをアピールしていく。
でも、まだ実績は少ないので、やる気アピールやこれからをどう考えているかをうまくアピールすることも大事。
会社勤めが嫌で、自力でお金を稼ぐ力を身につけたいというのなら、プログラミングスクールに通って、ゆくゆくはフリーランスエンジニアを目指すという、いま現在のところ有望で超おいしい道のりも目指せますね。
僕ならフリーランスエンジニアを目指します。
30代前半の転職
新卒から今、どんな仕事でどんなスキルを身につけてきたかをアピール。即戦力として、どう貢献できるのか?
やる気だけでは評価されません。キャリアプランなども、はっきり答えられるかについても聞かれる。
ほとんどの人にとって、最後の転職の機会となる。
35歳以上の転職
ここからは、求人は一気に減ります。
自分の経験、スキルだけでなく、管理職や部署リーダーとして、どのような仕事、実績を残してきたか?
マネジメントの経験や能力を見られる。転職先でどのようなプラスの影響を与えられるのかを、実績に基づいてアピールする必要がある。
40歳以上の転職
経営側としてどんな経験・実績があり、転職先の経営をどうプラスに改善していけるのか?
本来とても難しいことですが、転職先の経営陣を納得させられるだけの説得力をもったプレゼンが不可欠となる。
こうしてみると、35歳以上の転職というのは、いわゆる転職というのが求められているのではなくて、経営側として参画して欲しいという需要に変わってきますね。
35歳以上の転職がなぜ厳しいか
35歳以上ともなれば、本人の経験・力量で、目の前の仕事を成功させていくことも当然求められますが、それ以上に、周りを引っ張って、社内の風通しを良くしていくマネジメント力を求められます。
ところが、こうしたポストは皆が就きたがっていて、空いていません。それよりも、労働力として若い人材が求められるケースがほとんどで、ミスマッチを起こしているからです。
また、外部からヘッドハンティングによって要職に就いた場合は、社内から嫉妬されることも多く、風当たりも強い上に、足を引っ張られるケースも少なくありません。
そうしてつぶされた人を、何人も知っています。
そもそも、ヘッドハンティングされるような方は、このブログにたどり着かないかもしれませんね。
起業に求められる人物像の人は、どれだけいるのか?
ですから、よほど結果を残した人材で、かつ首都圏など本社機能が多く集まる場所であれば、そうした転職もあるでしょうが、なかなか35歳以上の方にとって、希望するような職はないのが現状ではないでしょうか。
また、35歳以上の方の転職といっても、若い人と転職理由が特に違うわけではなく、現在の職場に耐えがたい不満があったり、リストラに遭ったりしているケースであれば、若い人とスキルや経験もほとんど変わらない場合も多いと思われます。
もし、そうであれば、『年上だから扱いづらく、年功序列の給与形態に当てはめられない人材の需要は少なく、たとえ経験が少なくても若い人材が欲しい。』と思う企業側とのギャップはなかなか埋まらないというのが、現実だと思います。
厳しい状況の中でどうしていくか
こうしてみると、やはり35歳以上の方が納得する形での転職というのは、そうとう厳しいと思います。
起業することも大きなリスクを背負うことになりますし、若い人のようにリスクを顧みず挑戦していくのも、現実は難しくなっていると思います。
安易に会社を辞めてはいけない
家族を抱えて、色々な問題にがんじがらめの中で、中高年が現在の会社を飛び出すのは、大きなリスクを伴うことになりかねません。ですので、僕は無責任に、転職や起業を薦めることはできません。
それでも、リストラや倒産など不可抗力で仕事を失い、なんとか生活の安定を求めている人が多いというのが、冒頭の宝塚市の事案からも読み取れます。
まずは、精神的な安定を勝ち取るためにも、最低限でも食べていくために、少々きびしい環境であっても何らかの副業をされることをオススメします。
たとえ非正規雇用でも働くことは尊い
たとえ非正規雇用であっても、何らかの形で働いていることは、間違いなく社会に貢献しているので、僕はとても尊いことだと思っています。
ですから、いま苦しい状況にある方がもしいらしても、堂々と頑張っていただきたいと思っています。周囲は、35歳以上になって非正規雇用だと、色々言うかもしれませんし、自分自身がつらくなるかもしれませんが、他人の目なんか無視していいと思います。
まして、自分が接して気分の悪い人なんか、バカにしようが離れていってもらっても、構わないのではないでしょうか。
最悪、自分と家族が食べていければいいわけですし、状況が厳しくても笑い飛ばすくらいでいたいですよね。
最後に
35歳以上の方で、このブログ・記事にたどり着いた方には申し訳ありませんが、僕も34歳で最後に正社員になってからは、正社員での転職の経験がないので、そうした方に対して満足していただけるアドバイスはできません。
ただし、副業の経験は失敗を含めて、それなりにあるので、なんらか職につきながら副業をしていくことや、もう会社を飛び出してしまって、これからどうやってでも食べていかないといけないという場合に、副業レベルですが食べていくための方法なら、お話できるかなと思っています。
明日は、僕が考える副業についてお話させていただきたいと思います。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。