青山学院大学の勝因と他大学の敗因(駒澤)【第100回箱根駅伝2024】
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2024年1月2日(火)、1月3日(水)、第100回箱根駅伝2024が行われ、青山学院大学がまさかの完全優勝を果たし、2年ぶり7回目の総合優勝となりました。

本当におめでとうございます。陸上をよくご存じない方は「また青学が優勝か。」くらいにしか感じていないかもしれません。

しかし、ちょっと学生駅伝を追いかけている人間すれば、青学の勝利を予想できた人はほとんどいなかったことでしょう。

僕も例外ではなく、まったく予想できませんでした。

この記事では、青山学院大学の勝因と駒澤大学の敗因を中心に、他大学の結果や来シーズンの展望について述べさせていただきます。

素人が適当に思っていることを書くだけなので、お手柔らかにお願いいたします。

 

 

『第100回箱根駅伝2024』

『箱根駅伝番組特設サイト』

 

目次

第100回箱根駅伝2024・順位推移

本当に意外な展開で、コロコロと順位が変わり、ドキドキしながら楽しめた大会だったと思います。

 

往路

下記の順位の推移により、青山学院大学が往路新記録で、往路優勝を果たしました。おめでとうございます!

1区 2区 3区 4区 5区
1 駒澤大学 駒澤大学 青山学院 青山学院 青山学院
2 青山学院 駒澤大学 駒澤大学 駒澤大学
3 西 西 西 西
4 大学 早稲田大 大学 東洋大学 東洋大学
5 東海大学 西 東洋大学 早稲田大
6 駿河台 東京農業 早稲田大
7 帝京大学 東洋大学 早稲田大 帝京大学
8 明治大学 大学
9 青山学院 帝京大学 東海大学 法政大学
10 順天堂大 東海大学 東海大学 法政大学 順天堂大
11 東京農業 順天堂大 国士舘大
12 早稲田大 山梨学院 法政大学 大学 帝京大学
13 法政大学 順天堂大 中央大学 中央大学
14 法政大学 帝京大学 山梨学院 駿河台
15 東洋大学 順天堂大 国士舘大 国士舘大 山梨学院
16 山梨学院 神奈川大 山梨学院 東海大学
17 中央大学 東京農業
18 国士舘大
19 中央大学 駿河台 中央大学 駿河台 大学
20 神奈川大 東京農業 東京農業
21 神奈川大 駿河台 神奈川大 日本体育
22 国士舘大 明治大学 明治大学 明治大学 神奈川大
23 日本体育 日本体育 日本体育 日本体育 明治大学

 

復路

1月3日の復路でも、熱いドラマがありました。最後はコロコロ順位が変わって、本当に楽しかったです。

6区 7区 8区 9区 10区
1 青山学院 青山学院 青山学院 青山学院 青山学院
2 駒澤大学 駒澤大学 駒澤大学 駒澤大学 駒澤大学
3 西 西 西 西 西
4 東洋大学 東洋大学 東洋大学 東洋大学 東洋大学
5
6 法政大学 法政大学 法政大学
7 法政大学 早稲田大 早稲田大
8 早稲田大 法政大学 早稲田大
9 早稲田大 帝京大学 帝京大学 帝京大学
10 中央大学 中央大学 東海大学 東海大学
11 東海大学 帝京大学 東海大学
12 帝京大学 国士舘大 中央大学 国士舘大 国士舘大
13 順天堂大 東海大学 国士舘大 中央大学 中央大学
14 国士舘大
15 大学 大学
16 順天堂大 大学 順天堂大 日本体育
17 山梨学院 大学 駿河台 明治大学 順天堂大
18 駿河台 駿河台 順天堂大 東京農業 駿河台
19 大学 山梨学院 日本体育 駿河台
20 神奈川大 東京農業 明治大学 日本体育 明治大学
21 東京農業 神奈川大 山梨学院 神奈川大
22 日本体育 日本体育 東京農業 神奈川大 東京農業
23 明治大学 明治大学 神奈川大 山梨学院 山梨学院

当然といえば当然ですが、この順位予想をできた人はまずいないでしょうね(笑)。

 

ほぼ何もミスはなかった駒澤大学

まさかの敗戦となってしまった駒澤大学ですが、悪いところはほぼなかったと思います。

区間順位もタイムも何も悪くなかったし、失敗といえるような選手もほとんどいませんでした。6区の帰山選手はもったいなかったという感じはしますが…。

6区を伊藤選手が走れていたら結果はもう少し変わっていたと思いますけど、それでも青学の野村選手も素晴らしかったので、そう簡単にはいかなかったでしょうね。

確かに失敗はなかったけど、青学が自分たちを上回ることも想定もしてしなかったのではないでしょうか。

もしかしたら負けるかもしれない。相手の方がものすごく好調かもしれないと、いつも心配していないといけないのかもしれません。

 

追いかける駅伝を忘れていた

唯一、弱点ともいえるのが、出雲・全日本を1区から独走して勝ちすぎてしまっていたが故に、今年は一度も追いかける駅伝を経験していなかった。

勝つことも大事ですけど、「勝ちすぎることは良くない」ということを、かの武田信玄公も言っています。

知らず知らず油断を生んでしまいますね。そして、その油断に本人達も周りも気付かないというのが、とても恐ろしいことだと、今回改めて感じました。

 

実力を過信した

1区で篠原選手がトップでタスキリレーした時点で、「あっ!もう駒澤が優勝だわ。終わった。」と思いました。そう思った方も多かったのではないでしょうか?

また、2区終了時に、青学に少し詰められたとはいえ、まだ22秒差。佐藤圭汰選手が勢いよく飛び出した時点で「もう間違いないわ。ここから駒澤がぶっちぎってしまうな。」と思いました。

これは視聴者が思っただけではなくて、駒澤の選手たちも「もう勝った」と思ってしまったのでは無いでしょうか。

しかし、こうした状況や佐藤選手のようなトップ選手にもビビらない人が、わずかながらいるということを忘れてしまっていましたね。

そして、そういうビビらない人は持っている以上の力を出すことができるということも忘れがちですね。

そして、負けるわけがないと思っていた佐藤圭汰選手が負けたことで、駒澤の選手にも監督コーチにも動揺が広がってしまいました。

1区から3区まで、自慢の3本柱を投入して、後ろを引き離すことは考えていたでしょうけど、この3人、篠原・鈴木・佐藤で負けるケースを想定していなかったのではないかと思います。

最悪のケースを考えていないと、こうなってしまいますね。

 

守りに入って実力を発揮できず

逆に言うと、駒澤の選手はもっといけたのではないかという思いもしてしまいます。

無茶を承知の上で言うと、もし篠原・鈴木・佐藤の3人が全員、区間新記録を更新するもっと積極的な走りができていればと考えることもできるはずです。

特に、3区の佐藤圭汰選手は失敗できないという思いが強すぎたのか、なんだか守りに入ってしまっていたという印象を受けました。

彼がもし序盤の下り坂で太田選手に追いつかせなかったら、さすがに海岸線に入ってから追いつかれることはなかったでしょう。

3区というコースを研究することよりも、自分の走りをすれば大丈夫だと安易に考えてしまったのかもしれません。

太田選手が並の選手ならそれで十分だったでしょうけど、過去2回の箱根駅伝で、太田選手には駒澤大学は痛い目に遭っていたわけですから、もっと警戒すべきでした。

でも、それも結果論で、太田選手が凄すぎたというのが本当のところでしょうけども。

 

藤田監督の経験の少なさ

2区で鈴木芽吹選手が、青学の黒田朝日選手に13秒詰められたときも、「あれ?」と思ったことがありました。

戸塚の壁にさしかかったときに、監督車に乗っていた駒澤の主務から「青学が後ろに来てます」と言われたときに、藤田監督が「青学?」と驚いていしまっていました。

黒田朝日選手の走りが凄すぎたことが原因ではありますが、藤田監督は少し油断していたのではないでしょうか?

鈴木芽吹選手が先輩の田澤選手のタイムに挑戦していて、それが予定通りの素晴らしい走りをしていたから無理もありませんが…。

自分たちがいい走りをすれば、追いつかれるはずがないと高をくくっていたのではないかと思うのです。

それはあくまで希望的観測であって、相手が自分たち以上の走りをしてくるかもしれないという警戒だけは絶対に緩めてはいけなかったはずです。

いくら鈴木芽吹選手の持ちタイムが良くても、いくら日頃よりいい走りをしていたとしても、相手にはまったく関係ありません。

藤田監督の経験値の少なさが表れた出来事だと思います。

 

1区からの完全優勝に色気

駒澤の戦略としては、1区からトップに立って、2区3区とどんどん引き離していけると思ったのだろう。

まぁ、そう思っても仕方がないと思いますけども、1区に白鳥選手で耐えて、4区に篠原選手にしていたら展開は変わっただろうなと思います。

やはり念には念を入れて、奥の手をもっておくことは大事だと思いました。

 

 

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青山学院大学の勝因

今回の箱根駅伝における青山学院大学の勝利は、勝利への執念+戦術+運のすべてが噛み合ったものだと思います。

正直なところ、頭で考えても説明できない。言葉でも説明できるものではないほど、ただただ青学の選手が凄かったとしか言いようがありません。

それでも無理矢理にでも言語化してみようと思います。

 

勝利への執念

青山学院大学の選手たちは、駒澤一強と言われる中で、気持ちが折れそうになるときもあったはずです。

どう考えても勝てるプランが思いつかなかったと思います。しかし、それでも諦めなかった。

それでも言葉ばかりが踊って、気負っていると判断した原監督は「準優勝でいいよ」と投げかけます。

少しホッとしたことでしょう。でも、やはり考え直して「やはり優勝しかない」と、みんなで決意し直した。

去年の悔しさもあったでしょうし、このまま諦めの心に支配されてしまう恐怖もあったかもしれません。

駒澤の選手たちも、史上初の2年連続学生駅伝3冠に燃えていたでしょうけど、青学の選手も負けなかった。

気持ちで負けていなかったことが最大の勝因ではないでしょうか。もし、ビビってしまっていたら、体は思うように動かなかったに違いありません。

 

駒澤の強みと弱みを突く

駒澤の強みは、もちろん鈴木芽吹、篠原倖太朗、佐藤圭汰の3本柱です。

その中でも、特に駒澤の強みとなっているのが佐藤圭汰選手です。

出雲駅伝と全日本大学駅伝では序盤で、佐藤圭汰選手のスピード溢れる走りで、後続を引き離して大勝してきました。

しかし、今回は箱根駅伝です。佐藤選手は20kmを超えるレースが初めてで、経験したことがないという弱みを持っています。

失敗が許されない箱根駅伝で、あまり突っ込んで入れない。それが彼のペースを狂わせていったように感じます。

そうやって最大の武器であるスピードを抑えた相手に、3区の経験者の太田蒼生選手は序盤、下り坂を使って距離をグングン詰めていきました。

そして、下り坂が終わる前、7kmを少し超えた辺りで追いついてしまいました。

それでも、これだけ突っ込んで入ると、後半もたなくなるんじゃないかと心配しましたが、佐藤選手の後ろに付いて休みながら、13km付近から数回にわたって前に出て、相手を揺さぶっていきました。

そして、17km過ぎの湘南大橋の登り坂まで引っ張らせて、下り坂が終わってあと3kmだと少しホッとしてしまう場所で、サングラスを取って仕掛けて引き離してしまいました。

でも、こんなことは頭でわかっていても、そう簡単にやれるものではありません。それに、2区で駒澤との差を詰めていてもらったことで、初めて出来たことでした。

本当にギリギリの勝負でしたね。最後はわずか4秒差ながら、駒澤に先着したことで、僕は青学の総合優勝を確信しました。

青学だけは絶対に前に立たせてはいけないからです。

 

そして、駒澤の唯一の弱みは、出雲駅伝そして全日本大学駅伝で勝ちすぎてしまって、自分たちが追う展開の駅伝をしてこなかったことです。

特に、1年生から勝利しか知らない山川拓馬選手の経験不足という弱点を突いていきたい。

その山川選手が走った4区で、一番前に立たせてはいけない相手が、最悪の相手である青山学院大学でした。

青学の選手はいったん先頭に立つと、すぐに猛ダッシュして差を広げて、後半も粘ってペースが落ちてこないという走り方ができるからです。

案の定、4区の佐藤一世選手はタスキを受けると同時に猛ダッシュ!

1km過ぎた頃にはもう駒澤との差を20秒(約100m)ほどにまで広げてしまいました。

11月に故障していた駒澤の山川選手は、駒澤に入ってから大差で先頭を走る展開しか経験していません。相手を追いかける展開の駅伝は初めてだったのです。

僕たち素人には見えていなかった駒澤の強さと弱さを、原晋監督はきっと見抜いていたに違いありません。

でも、それは分かっていても、実際はまず出来ないことです。しかし、そんな無理なことを唯一できる太田選手を配置して、わずかな望みに掛けていたのでしょう。

 

箱根に向けた走力と地力

原晋監督は、今年の戦力を分析したときに、出雲駅伝と全日本大学駅伝は駒澤大学に勝てないことは分かっていたことでしょう。

でも、箱根駅伝ならわずかに勝てる可能性がある。それに、原監督は実際のところ出雲駅伝や全日本大学駅伝は2つ合わせても、箱根駅伝の半分の価値もないことをわかっています。

だから、箱根駅伝さえ取れれば、他で負けてもチャラになってお釣りまでくることを知っています。

注目度がまったく違いますから。出雲駅伝や全日本大学駅伝はいくら勝っても、翌日にTVに呼ばれることはありません。

それなら、箱根駅伝に特化して練習を組んでいこうと思ったはずです。というか、元々箱根駅伝を見据えた練習をしつつ、戦力が整った年には出雲や全日本も狙っていこうという思いなのでしょう。

対して、駒澤大学は5000mや10000mで世界を狙いたい学生が集まる大学です。だから、全日本大学駅伝には滅法強い。

しかし、箱根駅伝ではたまに外してしまう。これはチームのカラーが違うということでしょう。

 

対する青山学院大学の原監督は、箱根駅伝に出ることを目標に招聘されてから、ちょうど20年になります。

箱根駅伝に対する周囲の思い、そこから発展させていける影響力、そして動くお金など、箱根駅伝をうまく利用して知名度を上げてきました。

そして、箱根駅伝から上がってきた知名度を利用して、TVや講演などでお金を稼ぎながら、様々なことを学び続けています。

ですから、青学はトラックで強そうな選手ではなく、箱根駅伝で活躍できそうな選手をスカウトして、育成プログラム(青学メソッド)を作り上げ、チームで箱根駅伝に勝てる組織にしてきました。

また、青山学院大学自体にブランド力があり、保護者も安心して通わせることができますから、強い選手が集めやすい。

どの組織も大事なのは人材であり、人を大切にする組織は相乗効果を生んで発展していき、その逆の組織はあっという間に衰退してしまいます。

そうして作り上げたチームに、箱根駅伝に勝つための練習を施していく。その中で出てきた勝負強い選手を、レースの展開を読みながら適切に配置していく。

それが結実したのが、今回の3区の太田蒼生選手の走りだった。もちろん太田選手の練習、努力、精神力は文句なしに素晴らしい。

しかし、そうした選手を生み出せるシステムを作り上げて、さらにアップデートしているのが青山学院大学なのです。

大迫傑さんが太田選手と佐藤選手について、以下のようにおっしゃっていたのが話題になりましたね。

 

対する駒澤大学は世界に通用する選手を育てる過程の途中に、箱根駅伝があります。

オリンピックなどの世界大会で勝てる可能性は極めて低いものの、あえてその難題に挑戦しているのです。

どちらが上というのではなく、チームの価値観がそもそも違うのです。

ですから、原監督の発言が揚げ足をとられて「青学は世界に通用する選手を育てていないじゃないか」と言われることがありますが、そもそも世界を狙える選手はそう簡単に現れるものではありません。

日本の中で勝ち抜いて、オリンピックや世界陸上などガチの世界大会に出ても、現在のところ日本人選手で入賞以上の成績を達成できているのは、3000m障害の三浦龍司選手くらいでしょう。

そこに至るには、努力のしようがない程の、選手自身の才能が大きく関係してきます。いつか青学からも世界でガチンコの勝負ができる選手が出てきてもらいたいものですね。

 

徳本監督と為末大さんの対談

僕が第100回箱根駅伝2024に関連する色々な方の記事や動画を見た中で、一番おもしろかったのが駿河台大学の徳本監督と為末大さんの対談でした。

駅伝の監督としてのお金事情、視界や思いなどが聞けて、本当に楽しかったです。よろしければご覧になってみてください。

下記のような面白いことをおっしゃっています。少し長い動画ですけど、あっという間に終わってしまいました。

「箱根駅伝って今回で230人出場してて、その230人全員に向かって『世界に向かっていくぞ!』なんて言えますか?そんな(低い)確率のところに、要するに夢っていう部分で叶えられる母数が相当少ない部分に、夢ってものを追いかけさせるのか、追いかけさせないのかっていうところに、それぞれの監督の価値観があるんじゃないかなって。」

「駒澤の場合は、オリンピックに行きたいっていう子たちが、ある程度、揃ってるのかなというのは感じていて、青学の選手はそういうオリンピックっていうところよりも、もっと違う視野を広げたいとか、社会に対して面白いことしたいなっていう子たちの中で、強い子たちが集まってるのかなって。」

「当然、駒澤に入る子たちの価値観と、青学に入る子たちの価値観って絶対違うと思う。」

「城西の櫛部さんは、駒澤の大八木さんイズムに近いかな。世界を目指したい、世界の選手を育てていきたいっていう目線で、すごく運動生理学を学んだり、施設とかも力を入れているチームだと思う。」

「順天堂大学って、三浦龍司選手が入ってきたことで、個を大事にしすぎたのかなって感じを受けた。彼が凄すぎて、他の選手たちも強烈な個を見たときに、良くも悪くもやっぱり組織って…。僕も法政のときに、個でバーンといき過ぎたが故に、チームが価値観に追いつかないというか、憧れの部分が強すぎると追わなくなってしまう。」

 

全体を通して感じたこと

今回の第100回箱根駅伝2024を見ていて、思ったことが大きく分けて2つあります。

皆さんも感じたのではないでしょうか?

 

インフルエンザや風邪など、体調不良が多い

コロナウイルスは一時期のことを思えば、かなり収束していますが、インフルエンザが流行していたのは周知の事実です。

今大会は、インフルエンザや風邪などの体調不良、ケガでの離脱が多かったように思います。

特に、優勝候補にあげられていた中央大学は、箱根駅伝の直前の合宿で集団感染してしまい、体調不良のままに出場したことで、1区から大きく遅れてしまいました。

誰が責められることでもありませんが、ケガも含めて集団感染したのが1ヶ月前だった青学は良い休息となりましたが、直前になってしまった中央大学はシード権まで失ってしまいました。

不運としか言い様がありませんが、本当にもったいないというか残念なことでした。

 

取りこぼしがあると下位に沈む

今回の箱根駅伝でも、各区間での区間順位を上位で安定しているチームと、凸凹のチームがありました。

青学、駒澤、城西、東洋などは比較的安定していたと思います。そうしたチームは上位に入りました。

また、エース力に不安があって序盤は苦しかったものの、3区以降は安定していた國學院、法政、早稲田も上位に入りました。

苦手な5区6区の山区間で失速した帝京は、それ以外が安定していてシード権を獲得することができました。

 

そんな中、取りこぼしがあるチームは本来の力は発揮できなかったように感じます。

下位のチームは今回は省きますが、創価、大東文化、東海は区間によって凸凹で、まったく安定しませんでした。

創価と大東文化はシード権を取れたから良いものの、あまり褒められたレース内容ではありませんでした。

例えば、1区が駅伝の流れを作っていくということは間違いないと思いますが、3区4区で失速した創価は5区でも8区でも失敗。

地力があるからまだ良いものの、とても上位争いをするチームの走りではありませんでした。

大東文化も4区と8区で大失敗。危うく予選会にまわるところでした。東海大学も5区7区の失敗がなければ、シード権を取れていたに違いありません。

非常にもったいないですし、失敗した選手はチームで居場所がなくなってしまいますし、部内の空気が悪くなってしまいます。

チーム競技である以上、足を引っ張ることは許されないという意識をもっと強く持たないといけないと、今後も取りこぼしは続いてしまうと思います。

 

ケニア人留学生は箱根駅伝では…

顔が小さく足が長いことによるスピード、高地で生まれ育っていることによる優れた肺活量を活かしたスタミナ、この2つがケニア人留学生の強みです。

ですから、1500m、3000m、5000m、10000mという距離では、世界的に見ても強烈な強さを誇っています。

ノルウェーのヤコブ・インゲブリクセン選手のような例外はあるとしても、マラソンまで含めてもケニア、エチオピア、ウガンダといったアフリカ勢の強さは異常です。

そうした競技は、世界的に見ても記録を伸ばすことに注力していて、高低差のないフラットなコースが多くなっています。

しかし、箱根駅伝は1区と10区を除いて、アップダウンのある過酷なコースです。

ケニア人留学生はもちろん強いのですが、箱根を目指す日本のトップランナーに比べると、そうした高低差にあまり対応できていないと思います。

ですから、ケニア人留学生だからといって、箱根駅伝の20kmを超える凸凹の高低差のあるコースでは、以前ほどアドバンテージを取れなくなっています。

その証拠に、今回の箱根駅伝では、ケニア人留学生は1つも区間賞を取ることができませんでした。

それだけケニア人留学生によって、日本人のトップ選手の力量が上がっていることに他ありません。

それよりもエース力に欠けると思われていた日本人エースが2区を走った大学の健闘が目立ったように思います。

そうしたチームは、日本人選手たちが「自分たちはケニア人留学生に頼らずに、箱根駅伝を戦う」と腹を決めて準備もしていたため、想定以上の走りが出来ていたように思います。

もちろん日本の競技力向上のためにも、ケニア人留学生は貴重で大切な存在ではありますが、あくまで戦うのは日本人だと決める必要があると思います。

 

下位チームのレベルが格段に上がっている

今回は、復路の繰り上げスタートが16校になり、復路の順位がわかりにくいことが話題になりました。

しかし、それ以上に、シード権争いがとにかく激しかったと思います。往路終了時のタイム差が下記の通りで、ほとんど差が無くて、どの大学にもチャンスがありました。

大学名 タイム差
7 創価大学 -2:09
8 大東文化大学 -1:23
9 法政大学 -1:15
10 順天堂大学 0:00
11 国士舘大学 0:03
12 帝京大学 0:05
13 中央大学 0:18
14 駿河台大学 0:34
15 山梨学院大学 0:48
16 東海大学 1:16
17 立教大学 1:20
18 中央学院大学 1:25
19 日本大学 1:33

 

もちろん復路で、選手層の厚さの差が出てバラけていくわけですけど、それでも総合12位に国士舘大学が入ると予想した人はほとんどいなかったと思います。

各大学がシード権だけは獲りたいと必死になって戦った証拠ですし、下位に沈むと思われたチームも、また予選会に出場したチームも、シード校を睨みながら何とかその牙城を崩すことに必死になって努力していたのでしょう。

これから更にシード校と予選会校の差は縮まってくるかもしれません。

 

バックオフィスの重要度が上がっている

監督、コーチの指導力はチームにとって、もちろん大切なことは言うまでもありません。

しかし、スカウトやチームマネジメントなど、チームとしてどのように強化していくのか、人を配置していくのか、お金の問題をどう解決していくのかなど、とても監督1人でやれる仕事ではないでしょう。

亡くなった野村克也氏が「これからはフロントも含めたチーム力で戦っていかないと勝てない」という内容のことをおっしゃっていましたが、駅伝もまさにその通りだと思います。

監督、コーチ、スカウト担当、そして学生が担う主務やマネージャー、すべてがきちんと揃わないと、とても強豪校になれるものではないと思います。

そうした運営面も上手な大学が、今後勝ち残っていくに違いありません。

 

各大学・陸上競技部HP一覧

各大学の陸上競技部の情報一覧です。ひいきの大学の情報をいち早くゲットしてください!

 

シード校

駒澤大学 『HP』『instagram』
國學院大學 『HP』『twitter』『instagram』
中央大学 『HP』『twitter』『instagram』『You tube』
青山学院大学 『HP』『twitter』『instagram』
順天堂大学 『HP』『twitter』『instagram』
創価大学 『HP』『twitter』『instagram』
法政大学 『HP』『twitter』『instagram』
東洋大学 『HP』『instagram』『公認応援』
早稲田大学 『HP』『twitter』『instagram』『YouTube』
城西大学 『HP』『twitter』『instagram』

 

予選会突破校

大東文化大学 『twitter』『instagram』
明治大学 『HP』『twitter』『instagram』
帝京大学 『HP』『twitter』『instagram』
日本体育大学 『HP』『twitter』『instagram』
日本大学 『HP』『twitter』『instagram』
立教大学 『HP』『twitter』『instagram』『Facebook』
神奈川大学 『HP』『twitter』『instagram』
国士舘大学 『HP』『twitter』『instagram』
中央学院大学 『HP』『twitter』『instagram』
東海大学 『HP』『twitter』『instagram』
東京農業大学 『HP』『twitter』『instagram』
駿河台大学 『HP』『twitter』『instagram』
山梨学院大学 『HP』『twitter』

 

2024箱根駅伝速報号

 

陸上競技マガジン 2024年 02 月号

 

月刊陸上競技 2024年 02 月号

 

第100回箱根駅伝2024の各大学の感想と次回への展望

今回の箱根駅伝の感想と、次回を見据えてどうなっていくのか展望を書いてみたいと思います。

 

総合1位:青山学院大学

『HP』『twitter』『instagram』

目標-総合優勝 、 結果-大勝利

今回の箱根駅伝の総合優勝は、まさに会心の勝利だった。持てる実力以上のものを発揮できたのも、駒澤大学という強力なライバルがいたからだ。

そうした他大学にも敬意を払いながら、これからもケガには気を付けて競技に臨んでもらいたい。

 

来シーズンの展望

目標としていた駒澤大学を倒しての総合優勝を達成した青山学院大学。文句なしの奇跡の優勝を果たしたわけだが、来年はもっと強くなりそうだ。

なぜなら、今の3年生世代が黄金世代であり、最終学年を迎えてくるからだ。さらに、まだ箱根駅伝には出場できていない鶴川選手などもいる。

さらに下級生も順調に育ってきているのも明るい材料だ。しかも、新入生には全国高校駅伝1区区間賞の折田壮太(須磨学園)など、一流選手が加入してくる。

ライバルは打倒・青学を掲げて襲いかかってくるだろうが、それすら軽々と乗り越えてくる勢いだ。

青山学院大学に勝つためには、黒田朝日と太田蒼生の2人に勝って、完膚なきまで叩き潰すつもりで臨まないと無理だ。

 

総合2位:駒澤大学

『HP』『instagram』

目標-総合優勝 、 結果-負け

大八木弘明総監督が勇退して初年度となった今回は、出雲・全日本を圧勝したが、一番大事な箱根駅伝を落としてしまった。

青学の執念に負けたように思う。しかし、これで終わる駒澤ではあるまい。青学に勝てるのは駒澤だけだと思うし、巻き返しに期待したい。

 

来シーズンの展望

今シーズンの駒澤の強さを支えてきた4年生の黄金世代が卒業してしまいます。これにより駒澤の力が一時的に落ちることは間違いありません。

しかし、強い選手はしっかり残りますし、今年は芽が出なかった1年生からそろそろ逸材も現れることでしょう。

さらに、新1年生も有望な選手が入ってくるでしょうから、来年も青学の対抗馬の筆頭といっていいでしょう。

2年目の藤田敦史監督の采配にも注目したいですね。

 

総合3位:城西大学

『HP』『twitter』『instagram』

目標-3位以内 、 結果-大勝利

往路でしっかり強さを見せて、復路も一度も順位を下げることなく、見事に目標の3位に入った城西大学。

往路の選手が強かったことはもちろん、復路に回った選手もほぼ隙が無かったと思います。それに、周囲から難しいと言われようと、本気で3位を目指していた。

それが素晴らしい結果につながったと思います。本当におめでとうございます。

 

来シーズンの展望

今年の4年生が主力であり、その4年生が大量に卒業してしまうので、さっそく来年度は厳しくなってしまうことでしょう。

しかし、ここでしっかり踏みとどまることができれば、箱根強豪校として定着することができると思います。

櫛部監督の下、低酸素ルームでのキツいトレーニングを行うなど、先進的な取り組みも行っており、ここからまた強いチーム作りをしていってもらいたいですね。

強かった4年生も決して入学当初から期待されていたわけでも、最初から強かったわけでもありません。

城西大学の育成力で、どんどん大学駅伝界を盛り上げていって欲しいと思います。

 

総合4位:東洋大学

『HP』『instagram』『公認応援』

目標-シード権内 、 結果-大勝利

出雲駅伝、全日本大学駅伝といいところなく、また主力も揃いきらなかったことで、今年はいよいよヤバイと思われていた東洋大学。

しかし、2区の梅崎選手は、山梨学院のキピエゴや國學院の平林選手をうまく使いながら、順位を上げていって、強さとうまさを兼ね備えていましたね。

その他の選手も、ほぼミスがなかった。東洋の箱根駅伝の調整方法は、他大学はしっかり学ぶ必要があると思います。

 

来シーズンの展望

エース松山和希選手が卒業してしまうので、チーム運営は少し苦しくなることは確かだと思います。

しかしながら、今回の箱根駅伝で活躍した選手がほぼ残るので、来季も立て直しの1年が続くとは思うが、最悪期は脱しつつあるように感じます。

東洋は東洋らしく速さよりも強さを追い求めるようなスタイルが合っているように思います。

今年は酒井監督はかなり悩まれたでしょうが、ここからまた上がっていってくれるのではないかと思います。

来年以降の東洋に、また期待していきたいと思います。

 

総合5位:國學院大學

『HP』『twitter』『instagram』

目標-3位以上 、 結果-負け

目標を「てっぺん」と言ってみたり、「表彰台以上」と言ってみたりと、今ひとつ定まらなかった國學院大學。

その本音は、今回ではなく次回での総合優勝を目指していたからに違いない。

國學院としては1区の伊地知選手はムキにならずに、第2集団で追っていけばもっと楽に走れていたでしょうし、結果も良かったと思います。

2区以降はさすがの強さでしたけど、4区・7区・8区とあまり実績のある選手ではなかったですけど、ミスなく走れましたね。

3位以上という目標は達成できませんでしたけど、来年を考えたとき、まずまずの結果を残してきたと思っていい。

エースの山本歩夢選手を欠いてもこの成績ですから、ますます来年の國學院からは目が離せません。

 

来シーズンの展望

エースの伊地知選手が卒業してしまうものの、今の2・3年生の選手層が厚く、また1年生からも楽しみな人材が出てきている。

来シーズンの國學院は、今度こそ本当に3大駅伝すべてで優勝を狙ってくるに違いありません。

しかし、そのためには青学、駒澤という2強とガチンコ勝負していくことになる。

前田監督そして選手達も、その覚悟はできていると思うので、結果を楽しみにしたいと思う。

 

総合6位:法政大学

『HP』『twitter』『instagram』

目標-5位以上 、 結果-負け

予想する人によって、シード権は確保しそうという人と、僕のようにちょっと厳しいかなと思っていたように感じる法政大学。

5位以上という目標ではありましたが、実際のところはシード権確保というところが本音だと思うので、実質的には大勝利の結果ではないかと思います。

予想通り1区2区で少し苦しみましたけど、3区以降は区間順位はよくなくても着実に順位を上げていったのは素晴らしい。

復路も6区の武田選手で区間賞を獲ると、堅実な走りでほぼ順位を落とすことがなく、ミスなくレースを進められたのは、法政ならではの強さを見せてもらいました。

出雲駅伝は振るわなかったし、全日本大学駅伝は予選会も突破できなかったですけど、箱根は別物というものを見せつける勝利だったと思います。

 

来シーズンの展望

主力の4年生は卒業してしまうものの、それは昨年も同じことを言われていました。

法政としては2区を走れるエースを輩出することさえできれば、箱根駅伝についてはまずまずの戦力を整えてくると思う。

もう箱根の戦い方を、坪田監督も選手たちもしっかり身につけてきているように感じる。

ブランド大学であるだけに、青学ほどはスカウトがうまくいくということはないかもしれないが、堅実にチームとして良い流れを続けていきたい。

来シーズンも箱根駅伝だけはしっかり強いという、何とも憎らしい法政を見せてくれるのではないかと思っている。

 

総合7位:早稲田大学

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目標-5位以上 、 結果-負け

山下りの北村選手、次期エース候補の伊藤選手の2人を欠きながら、堅実な走りを見せて総合7位となった早稲田大学。

1区の間瀬田選手、4区の石塚選手、6区の栁本選手がもうちょっとうまく走れていたら、目標の5位はおろか、もっと上を狙えたと思うし、少しもったいないと感じた。

それでも強豪校だらけの今の難しい箱根駅伝において、花田監督は大きく外すことはないなぁと、改めて感心した。

5位以上はあくまで目標であって、7位なら十分に及第点があげられるレースだったと思う。

ゆっくり休んで、疲れを癒やして、また頑張ってもらいたいと思う。

 

来シーズンの展望

戦力的には、今年よりも来年の方が期待できると思うので、来シーズンの早稲田は面白そうだ。

5区は伊藤選手でも工藤選手でもいいということがわかったので、区間配置の幅も広がるし、いろいろ注目するポイントがあって面白い存在だと思う。

あとは、新1年生の中からまた世代トップの選手が入ってきて、エースとなってくれれば、早稲田が優勝候補にあがってくることも十分に考えられる。

超ブランド校はこういう歴史と伝統があるから、本当に楽しみだ。

 

総合8位:創価大学

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目標-3位以上 、 結果-負け

シード権を獲得した中で、僕が一番説教してやりたいのは、この創価大学です。

もっと実力があるはずなのに、ふがいない走りが多くて、本当にイライラしました。

3区4区8区9区と、4区間も大失敗。これでよくシード権がとれたよねと思う。

苦手にしていたスピードを向上させることに注力したことで、出雲駅伝は2位と最高順位を獲得できたものの、その反動でスタミナ作りが疎かになってしまったと思う。

だらしなく順位を簡単に下げる姿を見たら、もし創価ファンだったら発狂するほどイライラしたと思う。

今年の創価は、もし吉田響選手が加入していなかったら、どうなっていたかわからないほど脆かった。

来年はもっと箱根仕様の練習に組み直さないと、激しく後悔する事態になりかねない。

 

来シーズンの展望

チームの主力は少し抜けるものの、3年生以下の強力な選手が多く、特に今の3年生が最終学年として集大成を迎えることになる。

それだけに、本来なら國學院と同じように、3位以内どころか総合優勝を狙うチャンスなのに、何だか期待も萎んでいってしまう。

吉田響選手はエースの実力を持っているとは思うが、あくまで東海のチョンボが原因で入ってくれただけで、独自に育てた選手ではない。

それと、創価はそろそろ2区をケニア人留学生ではなく、日本人選手に走らせるべきだ。それをしないから、選手に甘えが出てきていると思う。

来年は最初から留学生は4区にでもして、2区のコースを全員に何度も試走させて、この過酷なコースを俺が走るんだから、相当練習しないといけないと覚悟を決めさせなければならない。

他のチームは日本人選手が2区を走って、しっかり好走している。シード権は当たり前の強豪校になったのはめでたいが、そろそろ脱皮しないとこれ以上の成長はない。

 

総合9位:帝京大学

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目標-シード権獲得 、 結果-大勝利

世界一あきらめの悪いチームのスローガンの下、本当にあきらめなかった帝京大学。

中野監督としては決して理想の区間配置はできなかったと思う。それは他の大学も同じだったでしょうけど。

山区間は相変わらず苦手のようだけど、他は往路もまずまずでまとめて我慢して、復路でしっかり追い上げるという帝京らしいレースだった。

箱根駅伝に特化して、きちんとハーフマラソンの距離を速さではなく強さを身につけるやり方は、ブランド力と資金力のあまりない大学としては、勉強するところだらけだ。

麗澤大学や拓殖大学などは、帝京大学の育成法h城に学ぶところが大いにあると思う。

2区を走った山中選手が更に力をつけていって、来年はエースとしてしっかりリベンジしてもらいたいと思う。

 

来シーズンの展望

西脇、小野、末次というチームの主力は抜けてしまうものの、育成の帝京らしく強い4年生がまた現れてくるに違いない。

来年はさらにシード権争いが厳しくなることは間違いないわけで、帝京としては苦しい状況は続くだろうが、今までどおり他大学が見いだせないようなスカウトをして、育成していくしかない。

今大会で残念ながら出場していないが、今年の1年生はスピードランナーが加入しているので、ここの育成を成功させられるかが、これからの帝京の命運を握ってくる。

逆に、この世代の育成をこれまで以上に成功させることができれば、過去最高の3位も狙える陣容になってくるかもしれない。

こういう地道な取り組みをしているチームが報われて欲しいと、心からそう思う。

 

総合10位:大東文化大学

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目標-シード権獲得 、 結果-薄氷の勝利

念願だった箱根駅伝のシード権を、薄氷の勝利ではあったが、ついに掴んだ大東文化大学。

アンカーがゴールしたとき、迎えにきていた主将の松村選手と菊地選手が号泣している姿を見て、つられて泣いてしまった。

真名子監督の指導力は本当にすごいなと感心させられると同時に、選手たちの頑張りにも敬意を表したい。

大東としては、往路は我慢のレース、復路を巻き返してシード権を確実にとっていくレースとしていたはずだが、8区のピーター・ワンジルは本当に危なかった。

そこでも何とか持ちこたえたのも、6区7区での貯金があったからだ。何事もやはり先に先に準備していかないといけないと、改めて思い知らされた。

個人的には、5区を走った菊地選手の走りながらの笑顔が大好きなので、卒業してしまうのは本当に残念だ。

 

来シーズンの展望

真名子監督が言っているように、シード権を獲っていれば、思い切って強化したりレベルの高いレースに選手を送り出したりできるわけで、これからの大東は楽しみだ。

チームの主力が4年生なので、一時的にかなり苦しくなってしまうのは間違いない。しかし、それは織り込み済みだろうし、今の3年生もかなり揃っているので、あまり心配していない。

それよりも心配なのはピーター・ワンジルだ。箱根駅伝予選会そして8区、去年の2区とすべて大失敗してしまっている。

大事な場面であそこまで失速してしまうのは、もう精神的な問題だと思うが、そうなると少し休ませてあげないと厳しいんじゃないだろうか。

次のケニア人留学生については当然考えているだろうが、もしかしたら前倒ししないといけないかもしれない。

下級生の育成やスカウトはこれまで以上に進むだろうから、これからの大東は楽しみしかない。

 

総合11位:東海大学

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目標-シード権獲得 、 結果-惜敗

シード権まであと一歩ながら、惜しくも手のひらから転げ落ちてしまった東海大学。

まだ再建途上ということを考えると、全日本大学駅伝は何とか誤魔化せても、箱根駅伝は誤魔化しきることはできなかった。

1区でうまく滑り出して、2区も苦しみながらもまずまずでまとめられただけに、3区以降が非常にもったいなかった。

特に、吉田響選手に替わる山登りの選手を用意できなかったのは痛かった。そして、アンカーのロホマン・シュモン選手は最初に突っ込みすぎたことが災いした。

主力がもうちょっと万全な体調で揃えられれば、結果は違ったであろうが、これはどのチームにも言えることなので理由にはならない。

東海も育成方法としては駒澤に近くて、トラックから距離を伸ばしていくやり方なので、箱根は分が悪い。

箱根駅伝を勝つためには、そろそろやり方をアップデートしないといけない時期なのかもしれない。

 

来シーズンの展望

精神的支柱である石原翔太郎選手が卒業してしまうので、痛いことは間違いない。

それでも、他の選手もそれはわかっていて、石原頼みにならないチーム作りをしている最中だ。

スピードランナーが多いだけに、トラック種目に未練があるのだろうが、やはり箱根駅伝の影響力が大きいので結果を出せる方法を考えて欲しい。

全日本大学駅伝・関東地区予選会はおそらく難なく通過できると思うが、問題は箱根駅伝予選会の方だ。

あまり得意ではないのか、いつもギリギリになってしまっているのだから、方法を変えないといけない。

もう一度、両角監督が選手からの信頼を勝ち得ていくためにも、やはり結果を出していく他あるまい。

 

総合12位:国士舘大学

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目標-シード権獲得 、 結果-惜敗

シード権まであと一歩まで迫りながら、惜しくもわずかに届かなかった国士舘大学。

国士舘大学がシード権争いでここまで善戦することを予想できた人がどれだけいたでしょうか?

しかし、全日本大学駅伝・関東地区予選会も突破したり、箱根駅伝予選会も近年苦しみながらも確実に突破できているあたり、強化が進んでいますね。

国士舘としては1区がもう少しいい位置で終わっていたら、ピーター・カマウももっと良い走りが出来たでしょうし、悔やまれるところですね。

10位の大東文化大学とはわずか1分10秒差でしたから、復路の選手が22秒ずつ詰められていたら、シード権を獲得できていたわけです。

区間順位を見てみると、1区2区以外はかなり善戦していることがわかりますから、本当にもったいなかった。

この悔しさをバネにして、来年また頑張ってもらいたいですね。

 

来シーズンの展望

1区を走った山本龍神選手と、5区でチームを押し上げた山本雷我選手が抜けることは確かに痛いですけども、チームの主力は2年生と3年生です。

他大学に比べれば、来シーズンの国士舘はかなり期待できるかもしれません。

それだけに1区で遅れない選手と、5区の山登りで他大学を凌駕できる選手を育てられれば、かなり面白い存在になります。

今回出場した選手も貴重な体験をしたわけですし、チーム内でしっかり共有して来季に臨んでいただきたい。

国士舘大学がシード権を獲得すれば、OBはさぞかし喜ばれることでしょう。頑張ってください!

 

総合13位:中央大学

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目標-総合優勝 、 結果-大敗北

総合優勝を目指していた中央大学が、まさかの総合13位。シード権まで失うとは思っていなかった。

原因は、直前での風邪なのかインフルエンザなのかの集団感染。何ともやり切れないし、怒りのぶつけどころがない。

あえて苦言を呈するとしたら、危機管理がもう少し工夫できなかったのか?残念だし、力を出せないのはもったいない。

各選手の走りについては言及のしようがないし、仕方がないとしか…。唯一、吉居駿恭選手が区間賞を獲って、一矢報いてくれたことか。

何だか今年の中央大学は、駅伝の神様とやらにとことん見放された感じで、何ともやるせない。

悔やんでも仕方ないので、来年は駅伝界を荒らす勢いで頑張ってもらいたい。

 

来シーズンの展望

吉居大和選手、中野翔太選手、湯浅仁選手という強力な主力であり、精神的支柱が卒業してしまうのは、あまりにも痛い。

今年どうやってでも優勝しなければならなかった。来シーズンも大きく力を落としてしまう。

しかし、それでも残っている選手も持ちタイムはいいし、ブランド大学でありスカウトも強化しているので、新1年生もかなり期待できるに違いない。

藤原監督には新たにチームを作り直す思いで頑張ってもらいたい。

今のところ、中央大学の育成方法は、トラックと駅伝の両睨みだが、どちらかに注力して中途半端な状態を解消した方がいいかもしれない。

 

総合14位:立教大学

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目標-シード権獲得 、 結果-惜敗

箱根駅伝予選会の直前に、前監督のしょうもないスキャンダルで窮地に陥った立教大学も大善戦して、総合14位だった。

10位の大東文化大学まで2分22秒差だったから、かなり惜しいところまで戦えていたことになる。

まともに指導者がいない中で、学生たちで話し合って区間配置も決めたということだが、もっと声のデカイ人の意見に左右されたりしないかと心配していたが、そこも問題なさそうだった。

選手たちは競技力が上がっただけではなくて、人間的にも成長していたのだろう。

それだけに前監督のしたことは絶対に許されない。そんなに若い女の子とSEXしたかったら風俗でもいって後腐れないようにしとけよと思う。

立教大学には早く良い指導者をつけて、選手たちが安心して競技に集中できる環境を用意して上げて欲しい。

そうすれば、立教大学は近々シード権を当たり前のように獲って、青学に匹敵するようなチームにもなれるかもしれない。

 

来シーズンの展望

まだ立教大学が弱いときからチームを支えてきた関口絢太と中山凜斗の2人が抜けることは痛いし、前監督のスキャンダルのせいで、高校生のスカウトが止まってしまっているのではないかと心配している。

特に、大学スポーツだからスカウトが止まってしまうことは、死活問題となる。

早くきちんとした指導体制を整えて上げてほしい。陸上の指導者になりたいという人は多いはずだし、立教大学なら何の問題もないはずだ。

とにかくせっかく良い流れが出来ているだけに、それをチョロチョロとしたわずかな水の流れでもいいから続けていってもらいたい。

 

総合15位:日本大学

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目標-繰り上げスタートにならない 、 結果-勝利

最後は15位に入った日本大学の考証をしたいと思う。やはり新雅弘監督が素晴らしすぎる。

青学や駒澤とのチームの力量を計算し尽くして、選手たちには繰り上げスタートにならなければ100点満点だと伝えていた。

目標は高すぎず、低すぎず、わかりやすく、俺たちでも出来るかもしれないという希望を持たせるのも上手い。

そして、選手もそれにしっかり応えたと思うし、3区までは本当に素晴らしかったですね。

これから新雅弘監督の下、チームをしっかり立て直して古豪復活してもらいたい。

予選会トップのキップケメイ選手はナメていたということはないと思うが、箱根駅伝の2区がいかに厳しいコースで、日本人選手もエースとなると強いことが身にしみてわかったことだろう。

来年しっかり対策した上でのキップケメイ選手が見てみたい。イェゴン・ヴィンセント選手の区間記録をぜひとも更新してほしい。

 

来シーズンの展望

チームが荒れている頃から支え続けてきた西村翔太選手、主将の下尾悠真選手が抜けるのは痛いが、チームの主力は2年生だから、被害は小さい方だ。

今年の活躍を見て、また新雅弘監督の指導を受けたいという選手は多いに違いない。

監督の年齢が62歳だから先は長いわけではないかもしれないが、今後の成長が楽しみだ。

来年はシード権は厳しいかもしれないが、再来年は現実味を帯びてくるだろう。頑張って欲しい。

 

 

次回大会(第101回箱根駅伝2025)の展望

次回大会の本命は青山学院大学と駒澤大学でしょう。

青山学院大学は今の3年生がチームの主力なので、来年は最終学年となってきますので、次回もめちゃくちゃく強いに違いありません。

今の1年生はあまり育っていませんが、青山メソッドで育成している以上、そろそろ出てくることは間違いない。

対して駒澤大学は、チームの主力は4年生でしたから、少し力が落ちます。

それでも、選手層の厚いチームですし、下級生もそろそろ育って芽を出す頃だと思います。

この2チームを中心に、Wエースが4年生となり、下級生の選手層が厚い國學院がとても楽しみです。

彼らは公然と優勝を狙ってくることになるはずです。

今年はスピード練習に偏りすぎて、箱根は失敗した創価大学も3年生が主力なので、ダークホースとして面白いかもしれません。

 

その他ですと、個人的には、全国高校駅伝で覇権を争ってきた2人の監督が率いる大東文化大学と日本大学に注目しています。

大東文化は真名子監督が公言していたとおり、全日本と箱根のシードを獲ってきましたので、来年度は3大駅伝にすべて出場してきますし、思い切って強化してくることでしょう。

昨年5月に新雅弘監督が就任したばかりの日本大学も、来年はシード権を狙ってくるでしょうから、目が離せません。

 

この他、どの大学も差がどんどんなくなっているので、どこが上がってくるか本当に楽しみです。

シード権争いがもっともっと熾烈になりそうで、こちらの方もかなり面白いと思います。

ということで、青山学院大学と駒澤大学を軸に、他大学が挑んでいくことになりそうです。来年が今から待ち遠しいですね。

 

 

最後に

青山学院大学の勝因と駒澤大学の敗因(他大学も)【第100回箱根駅伝2024】、いかがだったでしょうか?

ボロクソ書いてしまいましたが、選手の皆さん、そしてスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。

また来年、素晴らしいレースが見たいです。ケガなく力を出し切ってください。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

 

 

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