昨日の続きです。
今回の入管法改正によって、何がどうなるのか予想してみました。
入管法改正によって何が変わる?
まともな議論のないまま、やっつけで進めた入管法改正で、何がどう変わるんでしょうか?
外国人労働者はどこまで増える?
外国人労働者数は、2018年(平成30年)10月末現在ですから、約146万人です。(在留外国人は約263万人)
2019年4月から5年後の2024年度末には、ここに35万人を追加されて、約181万人となります。
2019年8月1日現在、日本の人口は1億2623万人ですから、その比率は1.43%です。
ここから、その頃には特定技能2号になっていく人が出てきますから、家族帯同が許されるので、在留外国人はもう少し増えます。
50人に1人が若い外国人で、日本人はジジババばかりとなると、当然この外国人労働者の方達に、一定の発言力が出てきます。
ここからさらに6年たって、2030年になると、日本の人口は1億1661万人と予想され、外国人労働者が仮に40万人増えると、221万人。比率は1.9%。家族まで入れると、3~5%くらいいくかもしれません。
この1億1661万人のうち、60歳以上は約4500万人です。恐怖ですね。
結局、外国人労働者が増えると、どうなるの?
未来がどうなるかなんて、誰にもわかりませんが、混乱が続くイギリスを見ていると、ある程度の予想がたてられます。
イギリスの人口は、2010年で約6200万人。うち労働人口は3000万人強。その中で外国人労働者の比率は約10%、300万人までいったそうです。
イギリスでは、何が起きたのか?
➁住宅の不足
➂インフラの整備コストが増大
➃社会保障コストも増大
➄治安の悪化
➀労働者の賃金が下がった
まず、労働市場の大きな変化です。特に単純労働市場では、移民の方がより安く引き受けるため、労働者の賃金は下がりました。
➁住宅の不足
イギリスの人口は現在6500万人。そのイギリスでは、移民流入だけでなく、新たに生まれる子供達も含めて、毎年50万人近く人口が増えています。
イギリスの人口密度はドイツの2倍、フランスの4倍程度。
この人口密度の高い国に大量の移民が入ってくれば、住宅不足に陥ります。現在、330万人ともいわれる移民のうち、100万人以上がロンドンに住んでいます。
当然、ロンドンは住宅不足となり、家賃や住宅価格が跳ね上がりました。
➂インフラの整備コストが増大
学校や鉄道、公共施設等のインフラの整備コストが跳ね上がりました。
➃社会保障コストも増大
社会保障コストが上がり、そのために税金等の負担も上がりました。
➄治安の悪化
劣悪な条件で働かされていれば、当然そうなります。
外国人労働者がもたらした良い効果
悪い面だけでなく、当然よい面もあります。
➁インフラや社会保障費は、移民がいるからこそ少しマシになる
➀外国人労働者の方が優秀
移民の中心が若者になりつつあり、こうした若者の方がイギリスの若者達より努力していて、往々にして教育レベルが高く、より高度な仕事につきつつあります。
その結果、購買力が上がり、経済全体を押し上げる力になっていることです。
➁インフラや社会保障費は、移民がいるからこそ少しマシになる
公共施設等のインフラコストや社会保障費等の負担も、もし移民が入ってこなかったら、もっと悲惨な状況になっていただろうと言われています。
治安の悪化はどうなる?
日本人として気になるのは、やはり治安の悪化ではないでしょうか?こればかりは読めないですよね。
治安の悪化については、懸念材料があります。
治安が悪化しそうな懸念材料
懸念材料は実際はもっとあると思いますが、一例を挙げてみました。みんなが気づいている通り、間違いなく治安は悪化するでしょう。
➁日本人は閉鎖的すぎる
➀技能実習制度が人権無視
現在、特定技能1号になろうと思えば、(1)技能実習生となり経験を積む、(2)技能試験と日本語試験に合格する、の2つの方法しかありません。
(1)技能実習生となることが多いのですが、これは、入管法改正の問題点で指摘した通り、ひどいものです。
最大の欠陥を放置した以上、問題は必ず起きます。悪い経営者たちが若い外国人労働者をしゃぶり尽くした上に、過労死させるのですから、問題が起きなかったら奇跡です。
でも、そんな奇跡は絶対に起きません。奇跡とは入念な準備と最大限の努力の先にしか、起きえないからです。
➁日本人は閉鎖的すぎる
会社の経営者と芸人の両立をしている厚切りジェイソンこと、ジェイソン・ダニエルソンさんは、たびたび日本人の閉鎖性を指摘しています。
と言っています。
これは僕もそうかもしれません。外国人と知り合いもいなければ、友達もいないし、どう接していいか正直わからない。
これは僕にとっても課題です。
懸念材料をそのままにしたら、治安は悪化する
上記の懸念材料以外にも、色々な問題があると思いますし、そもそも議論すらされていないわけですから、思いもよらない問題まで起こってくるでしょう。
それらの全ては予測できないものの、国民的議論は絶対にすべきだったと思います。
それをしないまま、外国人労働者が増えれば、治安は悪化するに決まっています。
怒りや恨みが憎悪を産み、治安は悪化する
ヨーロッパやアメリカを見れば、一目瞭然ですね。劣悪な労働環境の中で、怒りや恨みが憎悪を産み、治安が悪化していきました。
それと同じ事をやろうとしています。本当に愚かです。
他にも例えば、ヨーロッパは俺たちには関係ないと思って、中東問題を放っておいたがために、シリアやアフガニスタンなどから移民がなだれ込み、パンクしてしまいました。
アメリカは中南米アメリカを粗末に扱っているうちに、移民がなだれ込み、メキシコとの国境に壁を建てるなんて、アホなことを言う大統領になってしまいました。
そんなもん建てたところで、命からがら逃げてきた人を防げるわけないやん…。
アジアの他の国ではどうなっている?
移民や外国人労働者について、アジアの他の国ではどうなっているのでしょうか。
台湾
台湾政府が非熟練外国人労働者への門戸を開いたのは、1992年(平成4年)から、家事サービス業に7,000人を受け入れ、2018年(平成30年)10月現在で、70万人。
台湾の2378万人ですから全体の約2.94%にまでなっています。
日本と同じく少子高齢化が急速に進む台湾。介護職を中心に外国人労働者が浸透しています。
ただし、台湾も仲介業者(ブローカー)が手数料をボッタクリしていて、問題になっています。
シンガポール
独裁政権の超管理国家のシンガポールの人口は563万人。労働力不足が深刻なこの国では、外国人の割合はなんと30%。
外国人労働者の7割が単純労働者で、人権を大きく制限されています。
しかし、高度人材の受け入れも行われており、シンガポール国民の仕事が奪われるとして、人民行動党の支持率が落ちています。
いい面ばかりが伝えられやすいこの国ですが、『明るい北朝鮮』と揶揄される経済競争が過酷な国です。
優秀じゃなかったら必要ないみたいな感じなので、僕はあまりいい印象を持っていません。
韓国
雇用は韓国人優先ですが、外国人労働者にも比較的評価が高いです。
ただし、一定期間(10年弱)就業した労働者を母国に帰すことで、外国人を次々と入れ替えていく「回転扉方式」なので、ある意味、使い捨てなのかもしれません。
原則、職を変わることは禁止ですが、やむを得ず職場を変わるときは、その外国人労働者に公的機関のみが関わることで、民間のブローカーが入り込む余地がなく、外国人労働者を守る制度があります。
日本の10年後が心配
上記のことが現実になれば、次のことが起こるでしょう。
入管法改正による悪い面
➁文化の違いから衝突が起こる
➂教育現場が混乱する
➃外国人排斥運動が起こる
➄ポピュリズム政党が出てくる
➀外国人のせいで仕事が取られた。賃金が下がったという声が起こる。
今は人手不足ですが、結局安い労働力を確保したいというだけなので、労働条件が悪い単純労働ほど、外国人労働者に奪われるような錯覚を起こし、賃金も下がったと言い出す人が増えるでしょうね。
問題は、経営側と労働者側のバランスをどう取るのかという、政治的要素の方がはるかに強いのに、それらをボカすために、マスコミが利用され、対立を生み出されてしまうことでしょう。
➁文化の違いから衝突が起こる
外国人労働者も見ず知らずの国に来て、色々と困ることが起こるでしょうし不安もあるでしょうから、自分たちのコミュニティを形成していきます。
そうすれば、日本人との摩擦は起きてしまうでしょう。
➂教育現場が混乱する
日本語が変わらない。日本の教育現場に馴染めない。そもそもなぜ学校に行かないといけないの?といったことで、教育現場は混乱するでしょうね。ただでさえブラックな仕事である教師がつぶされないか心配です。
➃外国人排斥運動が起こる
➀~➂が現実になれば、当然起こるでしょう。
➄ポピュリズム政党が出てくる
今の欧米を見ていても、トランプもそうですし、国家のトップまでいかなくても極右政党は猛威をふるっています。
日本でも、大阪都構想という中身がないのに改革してるようなフリして、猛威をふるっている政党がありますよね。
でも、支持している人たちは煽られていることに全く気づいてないんですよ。自分たちはまともな判断をしていると錯覚しているんです。
それのもっと大きいバージョンが起こるでしょう。マスコミも調子に乗って暗躍しそうです。
途上国じゃあるまいし、統治体制を変えたくらいで、無駄遣いがなくなって良くなるなんて、ありえません。
小選挙区制だってお金が掛からなくなるといって始めたけど、以前よりお金もかかるし、知名度も必要になるし、1人に権力が集中して、トップには誰も何も言えなくなるなど、弊害だらけですよね。
入管法改正による良い面
➁真の国際国家になれるかもしれない
➀外国人労働者のおかげで、仕事・文化が多様化する
外国人労働者は日本人とは違う発想を持っています。それをうまく取り入れられれば、仕事内容も変わるでしょうし、取引先の開拓にもつながるでしょう。
また、外国人が増えれば、彼ら向けのサービスや日本文化との融合により新たなものも増えていくはずです。
そうした中で、企業の競争力もあがり、国益につながるはずです。
➁真の国際国家になれるかもしれない
これまで日本のことだけを考えてきた僕たち日本人が、海外に行かなくても、自然と外国人との接触が増えていきます。
また、インターネットの発達で、リアルタイムで、どこにいても同じ情報を得ることもできるようになりました。
それぞれの違いを受け入れ、楽しむことが少しずつできるようになるのではないでしょうか。
最後に
以上を見ても、考え得るだけの対策を講じたとは到底言えず、今回の改悪により状況が良くなることを想定するのは難しいと言わざるを得ません。
今のことだけを考えた財界の言い分だけを聞いて、やっつけで始めてしまったといえるでしょう。ただ、愚痴ばかり言っていても仕方ないので、最後に僕の私見だけ述べておきたいと思います。
小選挙区制度から中選挙区に戻すべき
いま好き放題している政治家も20年後にはいなくなっています。短期で物事を考え、冷静さを失うようなことは避けたいところです。
昔は中選挙区制だったことで、それぞれの地方で好きなことを言う大物がたくさんいました。そういう一癖ある人達を、さらに大物が囲って、うまくまとめあげていくというダイナミズムがありました。
しかし、小選挙区制になってから、中央に権力が集中し過ぎて、トップに誰も逆らえなくなりました。それによって、政治家も小粒になりましたね。首相在任期間なんかどれだけ長くても、何の価値もありません。
もっとみんなが好きなことを言い合い、多様性を持たせるためにも、中選挙区制に戻すべきだと思います。
今回の改正も、自民党一強でなければ、もう少し議論もなされたのではないかと思えてありません。野党ももうちょっとしっかりして欲しいです。
テクノロジーが進化することで、人がいらなくなる
AIやIotの発展によって、産業構造自体が大きく変化していきます。
その中で、変化に対応できる人だけが生き残れるという、熾烈な生存競争を生き抜かなければいけなくなります。
また、グローバルの世の中では、世界中の人とガチ勝負となります。負けた腹いせで、外国人排斥運動とならないように、努力していきたいですね。
日本のトップに立つ人達も、日本人よりも過酷な環境でがんばる外国人にどんどん入れ替わっていくでしょう。
そもそも、いつの時代もよそ者が勝っていくんですから。
観光だけに頼らないで、日本の産業を強化
インバウンド需要で持ち直した感も大きい昨今ですが、観光と安全だけでは、外国人の富裕層に土地をはじめとする資産を買い占められるだけです。
観光+安全+優れた魅力的な産業を構築していければ、日本は経済規模は小さくなったけど、いいもの持ってるよね!と一目置かれるのではないでしょうか?
英語をはじめとする言葉の教育を強化
翻訳ソフトなどの機能が進化したとしても、最後は人間が自分の口で発する言葉と行動でしかわかりあえません。
英語や中国語など、語学はさらに必要となっていくでしょう。
それと、プログラミングなど、新しい産業において必要となるスキルを身につけることは必須ですね。これができない人間はどんどん淘汰されていくでしょう。
死ぬまで勉強!死ぬまで変化!死ぬまで成長!
治安維持→安全な国造り
治安が悪化することは避けられないかもしれませんが、対策を打っていけば、改善することは可能なはずです。
日本人は比較的おだやかで優しさをもった人種です。
経済でトップではなくても、安全で快適な国。それでいて、外国人でも住みやすい国になれば、自然と価値は上がって、良い人がどんどん日本を目指してくると思います。
民間レベルの受け入れ体制の強化も
国だけに任せておくだけでなく、民間レベルの受け入れ体制の強化も必要になってくるでしょう。
政府主導で行われた施策とはいえ、実際に近くで外国人と関わっていくのは、われわれ民間の人間です。
そして、その施策を実行していくのは人であり、民間レベルの働きかけが重要になってきます。
日本人と外国人が共に安全で楽しく生活できるような環境作りを、民間で行っていくことが大切になるのではないでしょうか。
いろいろ書きましたが、まだまだ僕も模索中です。でも頑張るしかないですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。